はじめてのプリザンターアプリ作成:商談管理2

商談管理
この記事は約8分で読めます。

イントロダクション

前回の商談管理1では、プリザンターのテンプレート機能を使って商談管理アプリの作成を行いましたが、実際に社内でシステムを導入をする場合、経営観点での課題解決と同時にシステム利用者(利用部署・ライン)の利害関係も解決する必要があるため、導入目的や導入するシステムの機能等について共有することが大事になってきます。

今回は、自社に商談管理アプリをどのように導入していくのかご紹介いたします。

商談管理アプリ導入手順について

実際にアプリを導入する手順は以下となります。

  • 要件定義: 自社で使える商談管理の要求事項を取り纏めます。
  • 設計: 要件定義に基づきプリザンターに実装する商談管理アプリの設計を行います。
  • 実装: 設計書に基づきプリザンターに商談管理アプリを実装します。
  • テスト: 要件定義の要求事項に基づき商談管理業務を運用できるか確認します。
  • 移行・展開: 運用前に既存の顧客情報の移行と利用者の設定を行います。
  • 運用: ビジネス要件達成に向けて商談管理業務を開始しましょう。
  • 保守: ヘルプデスクの立ち上げとシステム運用維持を行います。

要件定義

要件定義は、システム利用者(ユーザー)の要求事項を取り纏める作業です。全社・部門観点での課題を整理し、解決するための案(業務改善・システム化等)を共有するためのヒアリングと提案が主な作業となります。

要件定義書は、システムの規模や難易度によってどこまで作るかはプロジェクトにより異なりますが、プロジェクトを成功させるために必ず要件定義を行いましょう。

マイグレーション案件の場合は「調査分析(現行システム調査)」も行う必要があります。

  • ビジネス要件: システム導入の課題や目的を定義します。
  • システム要件: システム環境やシステム範囲を定義します。
  • 業務要件: AsIs業務とシステム導入後のToBe業務を定義し業務機能を抽出します。
  • 機能要件: ToBe業務で定義した業務機能を定義します。
  • 非機能要件: 機能要件以外のシステム全体の品質や性質を定義します。
  • 運用・保守要件: システム導入後の運用・保守タスクを計画します。
  • 移行要件: 業務・システム・データ移行を計画します。
  • トレーニング要件: システム管理者・システム利用者へのトレーニングを計画します。
  • プロジェクトマネージメント計画: プロジェクトを成功させるためのマネージメントについて計画します。
  • 開発計画: 開発ルールを定義します。
  • テスト計画: 環境・工程・条件等を計画します。
  • 原価見積: システム開発の原価を見積、予算・体制・スケジュール等を計画します。

設計

設計は、システム規模・難易度に応じて、基本(論理・外部)設計・詳細(物理・内部)設計・プログラム設計に分かれます。

プリザンターはノーコード・ローコードツールですが、今回の商談管理アプリはノーコードで開発できるため基本設計があれば実装できます。

  • システム設計: システム構成やサブシステム間連携の方式や制約の設計を行います。
  • アーキテクチャー設計: システム・データ・プログラム等の共通基盤方式を設計します。
  • インフラ設計: サーバーやネットワーク等のインフラに関する設計を行います。
  • 機能設計: 機能要件で定義した業務機能(画面・帳票・バッチ・API等)の設計を行います。
  • 非機能設計: 非機能要件で定義した品質や性質を実現するための設計を行います。
  • データ設計: DB・ファイル・通知・メッセージ等の設計を行います。
  • システム運用設計: マスターやバッチ等のシステム運用について設計します。
  • サイジング: 業務量を見積もり、インフラリソースを確保します。
  • フィジビリティ: アーキテクチャー・機能設計で設計したシステム・機能が実現可能か、運用に耐えられるかプロトタイプを作成し検証を行います。
  • 構成管理: システムを安定稼働させるためにハードウェア・ネットワーク・ソフトウェアの構成を管理します。
  • 変更管理: 要件・仕様変更を管理しQCD(品質・コスト・納期)への影響を管理します。

実装

実装は、インフラ構築や業務機能の設定やプログラミングを行います。

今回の商談管理アプリはノーコード開発となるため、実装は設定のみとなります。

  • インフラ構築: 開発・ステージング・運用環境の構築を行います。
  • 機能開発: 画面・帳票・バッチ・API等の業務機能の開発(設定・プログラミング)を行います。
  • セキュリティ設定: 業務機能の権限設定やシステム・データを保護するためのセキュリティ施策を設定します。
  • 構成管理: 実装したインフラ・機能リソースの構成を管理します。
  • 変更管理: 実装で要件・仕様を変更する場合は、QCD(品質・コスト・納期)への影響を管理します。

テスト

テストは、システム規模・難易度により工程を分けて実装した業務機能やシステムを検証します。

  • 単体テスト: モジュールやコンポーネント単位の機能テストを行います。
  • 結合テスト: 機能間でのテストを行います。
  • システムテスト: サブシステム間でのテストや非機能要件(性能・可用性や異なる端末環境等)のテストを行います。
  • 総合テスト: 業務要件・機能要件を検証します。
  • 不具合管理: テストで抽出した不具合を管理します。
  • 構成管理: テストで実装変更したインフラ・機能リソースの構成を管理します。
  • 変更管理: テストで実装変更した際、要件・仕様を変更する場合は、QCD(品質・コスト・納期)への影響を管理します。

受入

ユーザーへのトレーニングや業務要件を満たしているかユーザーによる検証を行います。

  • トレーニング: トレーニング要件で計画したトレーニングを行います。
  • 環境構築: 受入用のステージング環境を構築します。
  • データ移行: 本番運用で必要データを移行します。
  • 受入テスト: 要件定義を満たしているか検証行います。
  • 不具合管理: 受入テストで抽出した不具合を管理します。
  • 構成管理: 受入テストで実装変更したインフラ・機能リソースの構成を管理します。
  • 変更管理: 受入テストで実装変更した際、要件・仕様を変更する場合は、QCD(品質・コスト・納期)への影響を管理します。

移行・展開

運用準備を行います。

  • 本番移行: 移行計画・移行手順書を元に本番環境にシステム・データ移行を行います。
  • 運用開始: 新システムによる運用を開始します。

運用

ヘルプデスクやシステム運用維持を行います。

  • 問合せ管理: ユーザーからシステム運用に関する問い合わせ対応を行います。
  • システム運用: マスター更新やバッチ運用監視を行います。
  • 効果測定: システム運用によるビジネス要件(費用対効果等)を測定します。

保守

システムを安定維持させるための作業を行います。

  • 不具合対応: ハードウェア・ネットワーク・ソフトウェア・データ等の不具合対応を行います。
  • メンテナンス: ハードウェア・ネットワーク・ソフトウェアの定期保守やバージョンアップ等の対応を行います。
  • エンハンス: より使いやすく、より業務効率化等を目的にシステム追加や改善を行います。
  • バックアップ: システム・データのバックアップを行います。また、必要に応じてリストアします。
  • 不具合管理: 現象確認>調査分析>原因特定>暫定・恒久対策を管理します。
  • 構成管理: 不具合・バージョンアップ・エンハンス等で実装・変更したインフラ・機能リソースの構成を管理します。

まとめ

商談管理アプリを導入する手順は理解頂けましたでしょうか。

実際に、自社でシステム導入するプロジェクトでは、システム規模や難易度によりプロジェクトを成功させるのが難しくなります。

特に、品質トラブルは、上位工程の要件定義でのヒアリングや設計でのレビューがちゃんと出来ていなかったことで後工程の実装やテストで仕様変更が多発し、最悪はプロジェクトが中断するようなケースも見られるので特に上位工程は手を抜かずにしっかりやることをお勧めします。

ただ、今回の商談管理アプリはシステム規模が小さく且つノーコード開発となっているので、ここまでしっかりやらなくても導入することは可能かと思います。

タイトルとURLをコピーしました